名古屋金山- 労務トライアンフ

このブログは、社労士法人TRiUMPHの活動内容や労務管理のポイントなどを情報発信するブログです。本ブログは、名古屋市にある社労士法人TRiUMPHによる運営です!

新型コロナ、5類引き下げによる労務の対応とは?

みなさん、こんにちは。5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行されました。今後は、法律に基づいた外出自粛の要請などはなくなり、感染対策は個人の判断に委ねられ、3年余り続く国のコロナ対策は大きな節目を迎えることとなりました。今回の5類への移行に伴い、企業側では、過去に行った就業規則の変更やコロナ禍に新規で作成した規則類を見直さなければならないケースがでてくると思います。そこで今回は5類移行したことに伴い会社にて検討すべき労務対応について簡単ですが記載していきたいと思います。

社内ルールの見直し

コロナ禍では、常時マスクの着用が義務付けられたり、手洗いうがいの奨励、アクリル板などのパーテーションによる間仕切りなど、その就業環境は一変しました。正直なところ、5月8日から5類へ移行したので、「マスク外してもOK!」と言われても、なかなかすぐには移行できない方も多いのではないでしょうか。また実際に5類移行後に新型コロナウイルスに罹患した場合の対応についても、いまだ不透明な点も多いことから、厚生労働省のHPなどで情報収集し、必要な情報をこまめに従業員へ発信していくことが大切でしょう。特に、新型コロナウイルスに罹患した場合の出退勤のルールなどは早いうちから見直しておくことで、現場の混乱を防ぐことができます。

就業規則の見直しと変更について

コロナ禍を前提に改定した規程などがある場合、今後のことも踏まえ、それらの規定が現状に合っているか検討し、合っていなければ改定を検討しましょう。特に、コロナ禍で導入したテレワーク制度を継続して運用する場合には、対象者やテレワークによる働き方をする場合の手続き、費用精算などを現状に合わせておくことが大切です。

コロナ対策助成金を受給された方は確認しておきましょう

コロナ対策で、さまざまな助成金を活用された方も多くいるかと思いますが、新型コロナウイルス関連規定を見直しておくことも大切です。

 例えば、「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」では、成果目標として「全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること」とされていますが、現実的に新型コロナウイルス感染症対応のための休暇を導入することは合理的はないと思います。本助成金はコロナ禍から続く助成金ですが、成果目標として新型コロナウイルス感染症対応のための休暇を導入している場合には、インフルエンザとのバランスも踏まえ、見直しが必要かもしれません。

就業規則変更の合理性について

就業規則を変更する場合に気を付けなければならない点は、不利益の程度、変更の必要性、変更の相当性などです。例えば、上記の新型コロナウイルス感染症対応特別休暇を削除する場合には、実質的に不利益な変更にあたるものと考えられます。こういった不利益な変更が可能か否か検討する場合には、その変更の必要性や内容自体の相当性、労働者が受ける不利益の程度から検討していくこととなります。今回は、すでに5類感染症に移行した新型コロナウイルス感染症を同じ5類である季節性インフルエンザと明らかに扱いに差異がある点で、変更の必要性や相当性は説明することは可能(※)と思われますが、それにより従業員が受ける不利益の程度とバランスを確認しつつ変更していくことが大切です。

※必ずしも必要性や相当性があることを保証するものではありません。

新型コロナ、5類移行での企業の対応。出勤停止とするか?

みなさん、こんにちは。5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行されました。今後は、法律に基づいた外出自粛の要請などはなくなり、感染対策は個人の判断に委ねられ、3年余り続く国のコロナ対策は大きな節目を迎えることとなりました。今回の5類への移行に伴い、企業側では、従業員やその同居する家族が新型コロナウイルスに罹患した場合の会社対応について悩まれることも多いと思いますので、今回は5類移行時の対応について、インフルエンザに罹患した場合の対応も踏まえて、記載していきたいと思います。なお、この記事は暫定的な扱いであり、今後も取り扱いが変わることと予想されますことを、ご承知おきください。

2類相当と5類感染症の違いとは?

新型コロナウイルスは正確には2類相当とされていますが、5類感染症へ移行したことで変更となる項目は下記の通りです。

www.mhlw.go.jp

従業員本人が5類移行後の新型コロナに罹患した場合

新型コロナウイルスに従業員本人が罹患した場合には、インフルエンザなどに罹患した場合の対応が参考になります。インフルエンザなどの場合、医師が労務不能である旨の診断書を出している場合には、出勤停止させることができます。会社としても、インフルエンザに罹患し、高熱が出た状態で出勤されても困ると思います。また診断書まで無くとも、医療機関にて受診した結果、インフルエンザなどと診断された場合には、出勤停止とさせることが可能です。また休業補償などもする必要はありません。

 なお、従業員本人が希望し、会社がそれを認める場合には、事後的に有給休暇扱いとすることも可能です。

従業員家族が5類移行後の新型コロナウイルスなどに罹患した場合

従業員の家族などが新型コロナウイルスに罹患した場合でも、従業員本人にその症状がみられない場合には、出勤停止とすることはできません。濃厚接触者という概念がないため、感染症対策は従業員本人の判断に委ねられます。したがって、本人が就労を希望している場合には、原則として出勤させ、賃金を支払う義務があります。実際には、会社としても安全配慮義務があるため、従業員本人と協議の上、出勤するかどうかを決めることとなります。

テレワークなどの活用も検討

従業員の家族などが新型コロナウイルス感染症に罹患しているものの、本人としては就労を希望している場合には、テレワークを検討しても良いかもしれません。5類に移行されたとしても、しばらくの間は、感染した場合には相応の対応が求められることと思いますので、テレワークのルールがしっかりと定着している職場であれば、活用を検討しても良いでしょう。

入社後すぐに退職。会社の社会保険はどうなるの?

みなさん、こんにちは。トライアンフの榊原です。新年度がスタートしましたね。4月は、新しい人材が多く入社してくる時期ですが、大きく生活スタイルが変化する中で、その変化についていけなかったり、入社してみたものの「イメージしていた職場と違った」「希望した部署へ配属されなかった」「先輩とうまくいかなかった」「人間関係が辛い」など様々な理由から、退職してしまう方も多くいらっしゃいます。SNSをみていると、入社してからわずかな期間で退職してしまったという投稿もちらほら・・・。会社としても、退職した方にとっても、本当に残念なことですよね。こういったミスマッチをなくすことも、私たち社会保険労務士の仕事ではないのかと思うところです。

 そこで今回は、入社した方がすぐに退職してしまった場合の社会保険について、会社の手続きを中心に書いていきたいと思います。

そもそも社会保険とは?

社会保険とは、社会保険とは、病気やケガ、収入の保障など、万が一の事故に備えるために運営されている公的な保険制度で、複数の制度や運営団体で構成されている制度です。社会保険についてすべて触れてしまうと非常に範囲が広いため、今回のテーマで必要な以下の4制度に絞って説明したいと思います。

健康保険

業務外の病気・怪我、出産などで医療機関を受診する場合に、受診料の自己負担額が7割が給付される制度です。その他、出産手当金や傷病手当金といった収入を保証する給付も健康保険制度には用意されています。主にサラリーマンの方が加入する健康保険には扶養制度があり、健康保険に加入している方(被保険者といいます。)のご家族なども要件を満たせば、被保険者の健康保険

厚生年金保険

一定年齢以上になった際に年金として給付が受けられる公的年金制度です。主にサラリーマンの方が加入する厚生年金保険のほか、自営業や無職の方は、国民年金制度に加入します。

雇用保険

雇用保険は、主に労働者に対して、失業して給料が得られなくなった場合や育児休業を取得した場合の給付を行う公的保険制度です。また保険料は、それ以外にも労働者のキャリアを支援や、就職を促進、就業環境を改善するための助成金制度を運営するための財源にも利用されています。

国民健康保険

国民健康保険制度(国保)は、他の医療保険制度(会社の健康保険や後期高齢者医療制度)に加入されていない全ての方を対象とした医療保険制度で、都道府県及び市町村(特別区を含む)が運営する市町村国保のほか、建設業や美容師などの業種ごとに運営される国民健康保険組合があります。

社会保険の加入手続きと社会保険料の給与天引き

正社員として従業員を採用した場合の社会保険手続きは、雇用保険の加入要件を満たす場合には、原則として入社した日の属する月の翌月 10 日までに。健康保険や厚生年金の加入要件を満たす場合には、入社した日から 5 日以内に加入手続きを行う必要があります。加入要件の詳細については割愛しますが、入社時点で加入要件を満たす場合には、例え試用期間や研修期間であっても加入手続きを行う必要があります。なお社会保険料は、原則として翌月に支給される給与から天引きします。

正社員として入社してすぐに退職してしまった場合の社会保険の天引き

では、入社した従業員が、すぐに退職してしまった場合はどうなるのでしょうか?

ここでは、以下の条件を前提に説明していきたいと思います。

・入社日 4月1日

・退職日 4月15日

・退職後に国民健康保険と国民年金に加入

・給与計算:末締め、翌月15日払

健康保険

健康保険や厚生年金の加入は歴月単位で考えます。そしてその月内に複数の制度(会社の健康保険と国保など)に加入する場合には、一番最後に加入した制度がその月の資格となります。例えば、会社の健康保険の資格を喪失し、翌日に国民健康保険に加入した場合には、4月中に加入している資格は国民健康保険となります。通常であれば資格喪失月は保険料の納付は原則として発生しませんが、加入月と資格喪失月が同じ場合(これを同月得喪といいます。)には保険料が発生します。そのため、5月15日に支給される給与では、健康保険料を徴収する必要があります。

この場合、保険料は両制度ともに発生しますので、忘れずに天引きする必要がありますが、給与支給額が少ないなどの場合には、事前に説明したうえで本人負担分の社会保険料を振り込んでもらうなどの対応が必要です。

厚生年金

厚生年金も健康保険と考え方は同じですので、5月15日に支給される給与では、厚生年金保険料を徴収する必要があります。ただし、健康保険と異なり、同月得喪の場合でも厚生年金保険料は発生しません。そのため、後日年金事務所から納めた保険料が還付のされますので、還付があった場合には、退職した従業員に保険料を返金することを忘れないようにしなければなりません。

雇用保険

雇用保険は4月1日から4月15日までに発生した給与に対して保険料率を乗じて計算した保険料を5月15日払いの給与支給時に天引きすることとなります。この場合には、失業保険などの受給資格として必要な「被保険者期間1ヶ月」と計算されます。わずかな期間ですが、被保険者期間としてカウントできる反面、雇用保険の履歴が発生します。

退職後に会社の保険証を使用した場合

退職後に会社の保険証を使った場合にはどうなるのでしょうか?

今回のケースでは4月15日までは会社の健康保険証を利用することができます。4月16日からは国民健康保険の保険証を使用することになりますが、誤って4月16日以降も会社の保険証を使用してしまった場合には、後日、会社の健康保険から費用請求されます。ただし、その費用については国民健康保険から支給されるため、その請求手続きが必要になります。退職後に会社の保険証は使用できませんので、退職時にしっかりと回収しておきましょう。

雇用関係助成金ポータルが公開!助成金手続きの利便性向上!

みなさん、こんにちは。トライアンフの榊原です。2023年4月3日に、厚生労働省-雇用関係助成金ポータルが公開されました。こちらのサイトを利用することで、雇用関係の助成金を検索したり、電子申請することができるようになります。昨今、さまざまな行政手続きが電子化されていくなかで、助成金の世界についても同様に電子化の流れとなり、その第一歩としてこのうなサイトが公開されることになりました。今回は、できたてほやほやの雇用関係助成金ポータルについて取り上げていきたいと思います。

雇用関係助成金ポータル

https://www.esop.mhlw.go.jp/

雇用関係助成金ポータルとは?

雇用関係助成金ポータル(以下「ポータル」という。)とは、厚生労働省が運営する雇用関係助成金の電子申請システムです。ポータルを利用することで、申請者の利便性が向上し、負担が軽減されます。また申請者の都合に合わせて、いつでも申請が可能です(メンテナンス時間を除く)。

www.youtube.com

雇用関係助成金ポータルのメリット

このポータルを活用することで、さまざまなメリットがあります。

  • 事業所マイページを活用
  • 過去情報を流用できる
  • 窓口への来訪が不要になる
  • ペーパーレス
  • 24時間利用可能

事業所マイページを活用

事業所情報をマイページで登録することで、申請の都度入力が不要です。 

過去の情報を流用できる

過去に提出した申請書を流用して、申請書を作成できます。過去申請を流用することで、入力の手間を省くことができます。 

窓口への来訪が不要になる

労働局から問い合わせがあった際、ポータル上でやり取りすることで、窓口への来訪が不要となり、経費節約になります。

ペーパーレス

通知書は電子で発行され、ポータル上で確認できます。

24時間利用可能 

申請状況をいつでも確認することが可能です。

※毎日AM0:00からAM2:00までの時間帯は、申請は不可。

利用するにはGビズIDが必要

ポータルを利用する上で、GビズIDの取得が必須です。GビズIDとは、法人・個人事業主向け共通認証システムです。取得後のアカウントは、有効期限や年度更新の必要はありません(令和5年4月現在)。以下にGビズIDのアカウントの説明とポータルへのログインまでに必要な作業を示します。エントリーアカウントでは利用できないようで、利用できるのはメンバーアカウント以上のようですが、必ずプライムアカウントが必要になるようです。この際に一つ作っておくと良いでしょう。
GビズIDの詳細・取得はこちらです。 

gbiz-id.go.jp

雇用関係助成金ポータル利用上の注意点など

例えば、過去に計画届などを書面により行ったものについては、現状は、ポータルより申請することはできないようです。例えば、キャリアアップ計画を書面提出している場合には、支給申請についても現状通り書面により行うこととなります。その他注意事項は、以下のとおりです。

令和5年度 労働保険料の年度更新について

社労士法人トライアンフ 榊原大志 です。

しばらくブログを休止しておりましたが、年度も変わり、心機一転しブログを再開することとしました。しばらくブログを書いていないと、何を書こうか悩んでしまいましたが、ちょうどこれから迎える労働保険料の年度更新手続きについて書いていこうと思います。

労働保険料の年度更新

①労働保険の年度更新とは?

労働保険料の年度更新とは、毎年、前年度分(今回は令和4年度)の賃金総額を集計し、確定保険料を計算し、前年度に納めた令和4年度分の概算保険料(税金でいうところの予定納税というとわかりやすいでしょうか?)と精算した金額と、同時に申告年度(今回は令和5年度)の概算保険料を計算したうえで、その合計金額を納付する手続きをいいます。わかりにくいかもしれませんので、以下の簡単な例で確認してみましょう。

例えば、以下のような条件の場合

----------------------------------------------------

令和4年度概算保険料 100円

令和4年度確定保険料 120円

----------------------------------------------------

令和5年度に納める保険料は、

①確定保険料の精算分 120円ー100円=20円

②令和5年度の概算保険料 120円

③ ①+②=140円

よって期限までに140円を納付することになります。

保険料の計算にあたっては、以下のエクセルツールを利用すると便利です。

www.mhlw.go.jp

②いつまでに提出するの?

令和5年度労働保険の年度更新期間は
6月1日(木)~7月10日(月)です。

③どこに提出すればいいの?

年度更新の申告書は、管轄の都道府県労働局や労働基準監督署の窓口にて提出することができます。また窓口提出のほか郵送、または「電子申請」でも受け付けており、直接窓口へ出向くことなく申告することができます。

ちなみに、ご自身で計算しても良いですが、社労士に任せたほうが、計算ミスもなく確実に期限に間に合わせてくれますので、安心ですよ♪

④今年度の注意点

令和4年度の雇用保険率が年度途中で変更していることに伴い、
令和4年度確定保険料の算定方法は、適用事業の種類によって異なります。

♢一元適用事業及び二元適用事業(雇用保険)の場合は、保険料算定基礎額と保険料額を労災保険分と雇用保険分ごとに、前期(令和4年4月1日~同年9月30日)と後期(令和4年10月1日~令和5年3月31日)に分けて算出します。

https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf

例年とは算定方法が異なりますので、
 詳しくは厚生労働省サイトの以下のリーフレット及び後記掲載の申告書の書き方(パンフレット)をご確認いただくと良いと思います。
・令和4年度確定保険料の算定方法が例年とは異なります(継続事業用)
・令和4年度確定保険料の算定方法が例年とは異なります(雇用保険用)

www.mhlw.go.jp

年末調整を電子化・電子申請したい!どうすればいいの?お役立ちリンク付まとめ

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こんにちは。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPHです。

年末が迫ってきました。この時期になると、人事労務担当者の方は、「今年の年末調整どうしよう・・・」と頭を悩ませていらっしゃるのではないでしょうか。毎年毎年、紙の山にまみれていた年末調整にも、ついに電子化の風が吹きこみ始めました。給与計算システム、税務・労務の電子申請システムを手掛ける各社が、こぞって電子版年末調整システムをリリースし始めています。でも、「どこまでできて、何が便利なのか、見当がつかない・・・」そんな人事労務担当者の方に朗報です。年末調整が電子化されると、年末調整の作業はほとんど全て、パソコン・スマホを使って、紙ベースの作業よりも早く正確に行うことができるのです。今回は、年末調整の電子化・電子申請について、参考になる情報のリンク先も含めてお伝えしようと思います。

STEP① 1年間の給与決定

12月の給与計算が終了すると、1月から12月に支払う給与と、控除する税額が決定されます。給与計算ソフトを導入していれば、ここは既に電子化されているかと思います。

STEP② 控除計算

毎年、各種控除を計算するために従業員に記入してもらっていたマルフ、マルホなど、紙の煩雑な書類群。電子化すると、各種所得控除や税額控除(住宅ローンなど)の書類の従業員による記入は、WEBアンケート方式になります。下記のリンク先では、国税局が作った年末調整システムの使い方を、動画で解説しています。市販の年末調整システムについても、ここは似たようなつくりかと思います。

Youtube国税庁動画チャンネル:年調ソフトの使い方~電子化で効率化~>

www.youtube.com

 

生命保険等の保険料控除証明書は、ハガキで郵送されて来たものを年末調整システムに手入力する場合と、電子化された証明書をダウンロードし、年末調整システムにインポートする場合があります。電子化された証明書を年末調整システムにインポートした場合、入力が正確になるだけではなく、計算まで正確になります。

国税局:控除証明書等の電子的交付について> 

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei/koujyo.htm

 

 

電子化された証明書はマイナポータルからダウンロードする方法と、各保険会社のいわゆる「お客様ページ」からダウンロードする方法があります。マイナポータルには、かんぽ、JA、日本生命等、国内の主な保険会社が証明書の電子データを提供しており、ダウンロードすることが可能です。

国税局:マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧>

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/list.htm

 

外資系生命保険は、現段階では、基本的には対応していないようです。アフラックはマイナポータル対応済み、メットライフは、お客様ページからダウンロードすることが可能、アクサ生命ジブラルタ生命などは未対応のようです。

メットライフ生命:控除証明書の電子発行について>

https://www.metlife.co.jp/customer/subtraction/digitization/

 

マイナポータルから電子化された保険料控除証明書をダウンロードするには、マイナンバーカードの取得、マイナポータルの利用者登録をすることが必要です。

Youtube国税庁動画チャンネル:マイナポータル連携で年末調整手続を簡便化!>

 

www.youtube.com

 

 

 

STEP③ 年税額の決定

出そろった各種所得控除、税額控除等をもとに、年税額を計算します。そして、多くの場合は12月の給与に、年末調整の調整金を計上します。

年末調整システムと給与ソフトが連携している場合、年税額・調整金の自動計算が可能になってきます。例えば、代表的な給与計算システム・年末調整システムのひとつである、マネーフォワード給与とマネーフォワード年末調整などは、相互に連携することが可能なようです。

<マネーフォワード:クラウド年末調整の主な機能>

https://biz.moneyforward.com/tax-adjustment/feature/

 

また、その他の市販の年末調整システムでは、API連携していなくても、CSVデータ取込み機能などで、給与計算システムと年末調整システムを連携することは可能と思われます。ちなみに、国税局の作った年末調整システムは、控除データの吐出しはXML形式なので、CSVデータによる連携はできません。

 

STEP④ 法定調書を税務署に提出

年が明けると、1月末までに法定調書を税務署に提出しなくてはなりません。こちらも、「e-Tax」から電子申請が可能です。

 

国税電子申告・納税システムe-Tax」>

https://www.e-tax.nta.go.jp/

 

新規利用者登録には企業の代表者等のマイナンバーカードが必要です。従来は、利用にはカードリーダーが必要でしたが、マイナポータル連携によりスマホでの認証ができるようになりました。

Youtube国税局動画チャンネル:e-Taxソフト(WEB版)をご利用の方へ【90秒ver】>

 

www.youtube.com

 

 

一部の年末調整システムはe-TaxとのAPI連携が可能ですが、その他市販の年末調整システムはCSV形式による連携と思われます。

STEP⑤ 給与支払報告書を各市町村に提出

各市町村に提出する給与支払報告書も、1月末までに整えなくてはなりません。例年紙で送付して、手間と郵送代がかさんでいたこの作業も、「eLTAX」により電子申請が可能です。

 

地方税ポータルシステム「eLTAX」>

https://www.eltax.lta.go.jp/

 

Youtube:eLTAX 地方税ポータルシステム:給与支払報告書の電子的提出の一元化(概要編)>

www.youtube.com

 

利用には利用者登録が必要です。代表者等のマイナンバーカード、カードリーダーは必要ありません。年末調整システムとは、一部の年末調整システムではAPI形式、多くの年末調整システムはCSV形式での連携が可能です。

 

<eLTAX:CSVファイル取り込みによる給与支払報告書の作成でエラーとなった場合の対処等について>

https://www.eltax.lta.go.jp/news/03046

 

給与支払報告書を電子申請すると、各市町村からの住民税のデータも、電子データで返ってくるようになります。紙と電子データ、両方でもらうことも可能です。給与計算ソフトにいちいち手打ちしなくてもいいという点で、地味に便利になりますよね。

終わりに

マイナポータル、e-Tax、eLTAX各システムは、一度利用者登録をしてしまえば、あとはIDとパスワード等を覚えておくだけで、来年以降も利用できます。始めるときの登録作業は大変ですが、来年以降は登録作業が必要なくなり、より便利に使えるようになります。また、来年以降も、市販の年末調整システムベンダーは、行政機関システムとのCSV連携等だけでなく、いろいろな便利な新機能を発表してくるものと思われます。そうなれば、ますます年末調整が早く、正確にできるようになります。

年末調整にようやく吹き込み始めた電子化の風。この追い風を受けて、どんどん年末調整業務を効率化していきましょう。分からないことがあれば、税務・労務の電子化に明るい税理士・社会保険労務士等の専門家に相談してみるのも一つの選択肢です。

それではまた。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPHでした。

年末調整の基本のキ!全体の流れ

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こんにちは。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPHです。

そろそろ12月に入りますね。人事労務担当者にとっては、年末調整に頭を悩ませる時期の到来です。毎年変更点がある年末調整ですが、本年の大きな変更点は、書類への押印が必要なくなったくらいです。手順としては、昨年度と変わりません。

この記事では、ざっくりと年末調整の流れをお伝えしたいと思います。「今、自分は全体の中でどの位置にいるのか?」をつかめる記事になっております。そのため、細かい数字が絡む詳細は、大幅に割愛しております。ご容赦下さい。なお、年末調整業務は社会保険労務士では受託することができず、弊所ではグループの榊原税務労務会計事務所が担当しております。本記事も税理士監修の元執筆しております。

年末調整とは?

そもそも年末調整とは、何のためにするのでしょうか?年末調整とは、毎月の給与計算でひいた所得税と、所得税の年額を調整するための仕組みです。毎月の給与計算で、所得税を控除する計算をします。しかし実は、所得税は1月から12月の1年間の所得に対して課税される税です。所得税には、各種控除(所得税を安くするためのお得な制度)があって、それは年単位です。そのため、月単位の所得税と、年単位の所得税で違いが出てきてしまいます。この違いを調整するのが、年末調整なのです。

 

STEP1:1年間の給与決定

12月に支払う給与の計算を完成させます。そして、本年の1月から12月までに支払う給与と賞与の総額、所得税を決定します。通常の給与計算ですが、次の工程が控えている分、早めに済ませておきたいものですね。

 

STEP2:所得控除・税額控除計算

所得控除・税額控除とは、所得税を安くするための制度のことです。例えば、従業員にご家族がいて、その従業員が経済的にご家族を支えている場合、所得税は安くなります。他にも、生命保険等をかけていたり、住宅ローンを支払っていたりする場合も、所得税が安くなります。毎年従業員に書いてもらっている複雑なあの書類は、そのためのものなのです。

どの書類にどの控除が紐ついているか、列挙しておきます。

【給与所得者の扶養控除等(異動)申告書】(マルフ)

扶養控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除

【給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書】(マルハイ)

基礎控除配偶者控除配偶者特別控除・所得金額調整控除

【給与所得者の保険料控除申告書】(「マルホ」)

生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済掛金控除

【給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書】

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除

 

STEP3:年税額の決定と調整金の反映

STEP2で計算した控除をもとに、所得税の年間の税額を計算します。そして、毎月ひいている所得税の合計との差を計算し差額を出します。この差額は、12月の給与に年末調整の調整金として反映します。多くの場合、差額は還付となります。払いすぎていた所得税が戻ってくるというわけです。

 

STEP4:税額の納付、法定調書を税務署に提出

毎月納めている所得税と、年末調整で計算した年間の税額の差額を、【所得税徴収高計算書(納付書)】に記載します。提出先は金融機関か、税務署の窓口です。また、法定調書合計表】も作成し、税務署へ提出します。法定調書合計表】とは、会社全体の1年間の給与と所得税の額を税務署に報告するものです。また、従業員で500万を超える年収があった人など、一定の人については、源泉徴収票も税務署に提出しなくてはなりません。

 

STEP5:給与支払報告書を各市町村に提出

住民税を計算してもらうため、各市町村に【給与支払報告書】を提出します。【給与支払報告書】とは、従業員ひとりひとりの1年間の給与を、各市町村に報告するものです。各市町村につき、【給与支払報告書(総括表)】と、その市町村に住んでいる従業員ごとの【給与支払報告書】を送付します。

 

STEP6:源泉徴収票を全従業員に配布

源泉徴収票を、給与を支払っている全従業員に配布します。源泉徴収票とは、1年間の給与、所得税の額、社会保険料の合計等を、記載した報告書です。理由があって年末調整をしなかった人にも、もちろん配布します。年末調整をしなかった人は、源泉徴収票を確定申告の時に使ったりします。

 

終わりに

年末調整は、国が国民に税の公平な負担をしてもらうことで、よりよい社会を作っていくための大切なお仕事です。12月、人事労務担当者は本当に大変だと思いますが、何とか乗り切りましょう。

昨今、年末調整にも電子化の風が吹きこみ始めました。年末調整の効率化のためにも、この風を利用して、どんどん電子化が進められるといいですね。年末調整の電子化については、このブログに別途記事がありますので、参考になさってください。

 

それではまた。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPHでした。