名古屋金山- 社労士TRiUMPHブログ

このブログは、社労士法人トライアンフの活動内容や労務管理のポイントなどを情報発信するブログです。本ブログは、名古屋市にある社労士法人TRiUMPHによる運営です!

シフト制を導入したい!1ヶ月単位の変形労働時間制の導入について

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1ヶ月単位の変形労働時間制とは?

1ヶ月単位の変形労働時間制とは、1ヶ月以内の期間を平均した時に1週間当たりの労働時間が法定労働時間内となることを条件として、特定の日の労働時間が8時間を超えることや特定された週の労働時間が週法定労働時間を超えることが可能になる制度です。

 

1ヶ月単位の変形労働時間制導入の要件

1ヶ月単位の変形労働時間制を導入するにあたっては①労使協定②就業規則③その他これに準ずるもののいずれかにおいて下記の記載事項を定めます。①②の場合には所轄労働基準監督署長への届出が必要です。③は就業規則の作成義務のない会社(労働者数が常時10人未満の会社)が作成する就業規則に準ずるものを指し、③の場合には所轄労働基準監督署長への届出は不要です。

 

  1. 対象となる労働者の範囲

どのような労働者を対象とするかの範囲を明確にしておく必要があります。

  1. 変形期間

1ヶ月単位の変形労働時間制を行う期間の事を“変形期間”と呼びます。

変形期間は1ヶ月以内の期間に限られ、変形期間の起算日を明らかにする必要があります。

  1. 変形期間を平均し、1週間当たりの労働時間が1週間の法定労働時間を超えない定め
  2. 変形期間における各日及び各週の具体的な労働時間

シフト表・会社カレンダーなどで、変形期間のすべての労働日ごとの労働時間及び休日をあらかじめ具体的に定める必要があります。その際には、変形期間を平均して1週間あたりの労働時間が週法定労働時間の範囲内となるように定めなくてはなりません。労働時間の特例が認められる業種の場合は、1週間の法定労働時間は44時間として計算します。

1ヶ月の変形労働時間制で勤務ができる月の労働時間の上限は”1週間の法定労働時間×変形期間の歴日数(1ヶ月以内)÷7日”で求められ、下記のとおりとなります。

 

歴日数が28日:160時間(176時間)

歴日数が29日:165.7時間(182.2時間)

歴日数が30日:171.4時間(188.5時間)

歴日数が31日:177.1時間(194.8時間)

※()内の数字は労働時間の特例が認められる業種の場合の労働時間の上限      

※小数点2位以下は切捨

 

変形期間中の労働時間の合計が変形期間の定めの通りであったとしても、特定した労働日または労働日ごとの労働時間を任意に変更することはできないので注意しましょう。

  1. 労使協定によって導入する場合には、有効期間

労使協定そのものの有効期間は変形期間よりも⻑期間とする必要があります。しかし、1ヶ月単位の変形労働時間制を適切に運⽤することを考えると、有効期間は3年以内程度とすることが望ましいでしょう。労使協定が同時に労働協約である場合には、有効期間を定める必要はありません。

労使協定によって1ヶ月単位の変形労働時間制を導入する場合、実際に労働者を1ヶ月単位の変形労働時間制のもとで労働させるには、労働契約・就業規則・労働協約のいずれかで根拠を示す必要があることにも注意が必要です。

 

1ヶ月単位の変形労働時間制での割増賃金について

通常であれば、1日については8時間を超えた場合、1週間については40時間を超えた場合に時間外労働とされ割増賃金の支払いが必要となりますが、1ヶ月単位の変形労働時間制を導入している場合は3つの枠組みで考える必要があります。

 

  1. 1日の法定時間外労働について

              ・労使協定又は就業規則等で1日8時間を超える時間を定めた日

               →その時間を超えたら時間外労働

              ・それ以外の日

               →8時間を超えたら時間外労働

 

  1. 1週間の法定時間外労働について

              ・労使協定又は就業規則等で1週40時間(44時間)を超える時間を定めた週

               →その時間を超えたら時間外労働

              ・それ以外の週

               →40時間(44時間)を超えたら時間外労働

             

  1. 1ヶ月単位の法定時間外労働

              変形期間の法定労働時間総枠を超えたら時間外労働

 

2の計算の際には1で計算した時間数は除き、3の計算の際には1及び2で計算した時間数は除いて計算を行いましょう。

まとめ

1ヶ月単位の変形労働時間制は1ヶ月内である程度の繁閑が明確である飲食業、コンビ二や学習塾・クリニックなど1ヶ月単位でシフトを組む業種に向いている制度といえるでしょう。

1ヶ月間全体で法定労働時間以内に収めれば良く、労働時間の調整がしやすくなり結果的に労働時間の削減につながるなどの効果が期待できますが、前述したとおり時間外労働の計算は通常よりも煩雑になるため、通常以上に労働者の労働時間の把握を意識する必要があります。自社にとって導入するべきかどうかを考える際には、そのあたりを考慮して判断することが大切です。制度を導入するべきか、制度を導入することに決めたものの労働時間の管理はどのようにしていくべきか等お悩みの際には、社会保険労務士までお気軽にお問い合わせください。

フレックスタイム制とは?うちの会社でも導入できるの?

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フレックスタイム制とは?

フレックスタイム制とは、労働者が一定の期間において一定の時間働くことを条件として、始業及び就業の時刻を自らで決めることのできる制度です。働き方改革の一環として注目され、近年、導入する企業が増えてきています。

フレックスタイム制導入の要件

フレックスタイム制を導入するにあたっては、就業規則に始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねることを定めるとともに、労使協定で以下の事項を定める必要があります。労使協定については、清算期間が1か月以内であれば届出は不要です。清算期間が1か月を超える場合には届出が必要となることを覚えておきましょう。

 

  1. 対象となる労働者の範囲

全労働者を対象とする必要はなく、特定の部署などに範囲を限ることも可能です

  1. 清算期間とその起算日

清算期間の最長は3か月であり、それ以上の期間の設定はできません。

  1. 清算期間における総労働時間数

清算期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内となるように定めなくてはなりません。労働時間の特例が認められる業種の場合は、1週間の法定労働時間は44時間として計算します。

  1. 標準となる1日の労働時間

有給休暇を取得した際に⽀払われる賃⾦の算定基礎となる労働時間です。清算期間における総労働時間を期間中の所定労働⽇数で割った時間を基準として定めます。

  1. コアタイム・フレキシブルタイムを定める場合にはその開始時刻及び終了時刻

コアタイム:1日の中で必ず働かなくてはならない時間帯

フレキシブルタイム:労働者がその選択で働くことができる時間帯

コアタイム・フレキシブルタイムは必ず定めなくてはならないものではありませんが、どちらも定めないとなると労働者は24時間のうちいつでも好きな時間帯に働いていいということになります。例えば労働者が深夜に働いた場合、それが労働者の選択であったとしても深夜の割増賃金の支払いをしなくてはなりません。24時間いつでも勤務可能になることで各労働者の勤務時間帯がバラバラになり労働者間での情報共有に問題点が出てくることも考えられます。そのような事を防ぐために、コアタイムやフレキシブルタイムを設定することが望ましいといえます。

コアタイム・フレキシブルタイムともに、時間帯を自由に定めることが可能です。” 毎週月曜日の9時から10時は全体朝礼があるので必ず勤務してほしいけど、それ以外は自由にしてもらって構わない” という場合には、月曜日の9時から10時のみコアタイムとすることもできるので、自社の環境に合わせた設定を行いましょう。

しかし、コアタイムの時間が1⽇の労働時間とほぼ同じである場合やフレキシブルタイムの時間帯が極端に短い場合などは労働者が始業・終業時刻を自由に決定できることにはならず、フレックスタイム制とはいえなくなるためその点には注意が必要です。

 

フレックスタイム制での労働と賃金について

“始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる=労働時間の管理が不要になる“と考える方が少なくありませんが、そうではありません。フレックスタイム制を導入していても、実労働時間の把握を行い、適切な労働時間管理を行う必要があります。実労働時間数が清算期間の総労働時間数を超えた場合や実労働時間数が清算期間の総労働時間数に満たない場合の賃金の取り扱いにも注意が必要です。下記に賃金の取り扱いについての具体例をあげておきます。

 

例1:総労働時間数160時間 実労働時間数180時間

超過分を翌月以降の労働時間で調整することは賃金の全額払いの原則に違反する為、

出来ません。超過した20時間分の割増賃金の支払いが必要です。

例2:総労働時間数160時間 実労働時間数150時間

  • 10時間の不足時間分の賃金を控除
  • 10時間の不足時間分を繰り越して、次の清算期間の総労働時間数に合算

法律上は①②のいずれかで対応することが可能です。しかし、②の場合には加算後の総労働時間数が法定労働時間範囲内であることが求められるため、実務上は①で対応することがほとんどといえるでしょう。

 

フレックスタイム制では1日の労働時間を労働者に委ねていることから、1日の労働時間が法定労働時間を超えて労働しても、それをもってただちに時間外労働ということにはなりません。清算期間の総労働時間数を超えたときにはじめて時間外労働となるということを覚えておきましょう。

まとめ

フレックスタイム制はワークライフバランスがとりやすくなることで労働者にとってはメリットが大きい制度といえるでしょう。ワークライフバランスがとれることで仕事の生産性もあがれば、企業にとってもメリットとなります。しかし、労働者間でのコミュニケーションが導入前に比べて難しくなること、タイムマネジメントが出来ない労働者の場合はズルズルと働いてしまい結果的に長時間労働を助長してしまうなどのデメリットも考えられます。

導入を検討する際には、フレックスタイム制を導入することで自社にどのようなメリットがあり、どのようなデメリットが起きる可能性があるか?をしっかりと把握し、決定することが大切です。

 

 

同一労働同一賃金って結局どういうこと?

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こんにちは。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPH(トライアンフです。 

今回は、「同一労働同一賃金」についてお伝えします。巷で騒がれているこのキーワード、「なんだか難しそう、どうせ自分には関係ないや・・・」なんて思っていませんか?実は、同一労働同一賃金は、2021年(本年)4月から、すべての会社、すべての労働者に適用されているのです。つまり、働いている人、働いてもらっている人全てが「同一労働同一賃金」の当事者なのです! 

よく勘違いされますが、同一労働同一賃金とは、「違いがあるのはよくないことなので平等にしよう」ということではありません。

では、同一労働同一賃金って、結局どういうことなのでしょうか。実は、ポイントは結構単純です。

従業員同士の待遇に違いがある場合、企業はその違いについて合理的な説明ができるかどうか?

言い換えれば、

「合理的な説明ができない待遇の違いがある場合は、その違いを解消しなければならない」ということです。

では、実務ではどのように、同一労働同一賃金を実現していけばいいのでしょうか?

4ステップで考えていきましょう。

STEP1. 従業員の待遇について棚卸しをする

短時間労働者(契約社員・パート・アルバイト等)を含むすべての従業員の待遇の棚卸しをしましょう。

あなたの会社は、どんな給与を支給していますか?例えば、基本給、通勤手当、役職手当、住宅手当などの各種手当、賞与(ボーナス)など、給与を構成するもの全てをリストアップしましょう。また、あなたの会社は、どのような福利厚生や教育訓練をしていますか?例えば、社員食堂、更衣室、OFF-JT受講の権利など、こちらも網羅的に書き出してみましょう。

 

STEP2.待遇の一つ一つについて目的・趣旨を考える

リストアップした待遇の一つ一つについて、改めてその目的や趣旨を考えてみましょう。 

例えば、基本給は、働いたことに対するお給料ですよね。ですから、労働者の能力または経験、業績または成果、あるいは責任の範囲に応じて支給に違いが出るのは当然のことです。ただし、基本給を決定する基準やルールについては、合理的な制度が必要です。 

通勤手当はどうでしょうか。こちらは、労働者に職場まで通ってもらう交通費を補うための手当です。

 

STEP3.従業員間で待遇に差がある場合、合理的な理由を考える

リストアップした待遇のうち、従業員同士で違いがあるものについて、改めてその理由を、目的や趣旨に照らして考えてみましょう。 

例えば基本給。前述したとおり、基本給には違いを設けてもいいし、違いがあるのは当然です。しかし、違いを設けるためには、合理的な決定基準・ルールが必要です。この合理的な決定基準・ルールは、「賃金制度設計」で作りましょう。 

通勤手当はどうでしょうか。通勤は能力や業績、仕事の責任には関係ありません。ですから、正社員には支給するけれどパート・アルバイトには支給しないというのは、その目的に照らして不合理となります。ただし、働く日数が少ない労働者について、定期代を支給するのではなく労働日に応じて実費支給にしたりするのは、合理的です。

 

STEP4.合理的な理由がない場合、差を解消する

待遇一つ一つの目的に照らして、合理的な説明がつかないものは、差を解消しましょう。 

基本給は、合理的な基準やルール(賃金制度)にのっとって決定されていますか?社長の主観的な判断(なんとなくこれくらいね・・・)で決定されている場合、それは改めるべきです。しっかりした「賃金制度」を作りましょう。「賃金制度設計」については、社会保険労務士にご相談ください。 

通勤手当は、合理的なルール通りに、全ての従業員に支給されていますか?もし、パートやアルバイトには全く支給しない、というのであれば、通勤費用の補填という目的に照らして不合理ですので、改めましょう。 

終わりに

同一労働同一賃金をめぐっては、企業に対する裁判がいくつか起きています。裁判になった場合、待遇の違いに合理的な理由があるかどうかについては、一つ一つ個別に判断する、ということになっています。「うちはアットホームな会社だから大丈夫」という油断は禁物です。待遇の違い一つ一つについて、合理的な説明ができるかどうか、必ず考えましょう。 

これで合理的な基準やルール、説明になっているのか?自信がないこともあると思います。そんな時は、社会保険労務士がお力になります。一緒に「賃金制度設計」や、合理的な基準・ルール作り、合理的な説明を考えましょう。そして、全ての従業員が気持ちよく働ける仕組みづくりを、一緒にしていきましょう。 

それではまた。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPH(トライアンフでした。

 

参考資料

https://www.mhlw.go.jp/content/000656231.pdf

「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」厚生労働省

一般事業主行動計画の概要・策定について

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目次

 

一般事業主行動計画って?

一般事業主行動計画とは、次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)または女性活躍推進法に基づき、従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備、女性労働者の活躍推進などに取り組むに当たっての(1)計画期間(2)目標(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。一定要件を満たした事業主は厚生労働大臣の認定を受けることで”くるみん“や”えるぼし”等の認定マークを取得し、自社商品や広告等に表記することができます。

すべての事業主が一般事業主行動計画の策定・届出・公表・周知をすることができますが、次世代法では常時雇用する労働者数が101人以上、女性活躍推進法では常時雇用する労働者が301人以上の事業主に対して策定・届出・公表・周知が義務付けられています。(令和4年4月1日以降は、女性活躍推進法においても、常時雇用する労働者が101人以上の事業主に対して義務付けられる予定です。)

策定の流れとポイント

STEP1:自社の現状と課題及び従業員のニーズの把握

行動計画が企業の実情に即したものになるためには、現状と課題の把握が何よりも大切です。課題は業種や職種・企業風土等によって大きく異なります。過去数年をさかのぼり、『子育て中の従業員が何人いるか』『妊娠出産を機に退職を選択する社員が何人いたか』『男女の採用比率はどのようになっているか』『管理職に占める女性の割合はどの程度か』等の調査分析を行い、自社の課題を洗い出しましょう。

現状と課題の把握が出来たら、従業員のニーズの把握を行いましょう。従業員が何を望んでいるのかを把握することで、ニーズに沿った行動計画の策定が行えます。従業員自身にも主体的に取り組みを実施してもらうためにも、ニーズの把握が重要となってきます。

STEP2:行動計画の策定

行動計画の策定で大事なのは、無理に高い目標を立てない事です。あまりに高い目標を立てることは、行動計画の取り組みを行う際の負担となってしまいます。

認定を受けるためには一定の要件を満たすことが必要にはなってきますが、まずは自社の環境をよりよいものにするという部分にフォーカスし、”今はまだできていないけど、これならばできるであろう”という行動計画を策定していきましょう。

STEP3:社内周知及び行動計画の公表

行動計画策定後、おおむね3か月以内には行動計画の社内周知・公表を行いましょう。

社内周知方法に決まりはありません。事業所内への備え付けや社内イントラネットへの掲示・従業員への行動計画配布や電子メール送信など、自社にあった方法で周知を行いましょう。

行動計画の公表は、自社ホームページへの掲載などが一般的です。より多くの人に自社の取り組みを見てもらうという点でいえば、自社ホームページへの掲載に加え、厚生労働省が運営するウェブサイト(※1)に掲載することが効果的です。インターネットが使用できない企業の場合は、事業所に備え付けを行う等で、求めに応じていつでも公表できるようにしておきましょう。

STEP4:行動計画の届出

管轄の都道府県労働局に策定した行動計画を届け出ましょう。

【届出方法】持参・郵送・電子申請

STEP5:行動計画の実施と効果測定

行動計画を実施し、目標を達成するために取り組みましょう。

ただ取り組むだけではなく、達成状況を定期的に確認する機会を設けることが大切です。改善されているか、改善されない場合にはどうしたら改善されるかを考えて必要に応じて取り組みの軌道修正をしていきましょう。

 

まとめ

一般事業主行動計画の策定・実行は、社内全体でのプロジェクトといえます。

目標に向かって従業員とともに行動計画に取り組むことで、社内の団結力が高まります。目標を達成することで社内環境はより良くなり、社内環境が良くなることは従業員の生産性の向上にもつながります。また、このような取り組みをしていることは、採用活動の上でもひとつのアピールポイントとなるでしょう。

一般事業主行動計画の策定・実行にむけて、まずは現状の把握と分析から始めてみませんか?

 

※1 下記サイトでデータの登録・公表が可能

両立支援のひろば:

http://ryouritsu.mhlw.go.jp/

女性の活躍推進企業データベース:

https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/index_kigyou.html

 

男性版産休(=改正男性育休)とは?いつから?導入に備えてやることは?

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こんにちは。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPH(トライアンフ)です。

 

突然ですが、昨今話題の「男性版産休」って、皆さんは聞いたことありますか?実はこれ、「男性にも産休取得を義務付ける」ということではありません。「男性にとって育休制度がもっと使いやすくなる」ということなのです。どのように法律が変わったのか、解説していきます。

 

目次

 

法改正の背景

 

女性にとって出産は、命がけのライフイベントです。赤ちゃんが生まれてから1か月間は、2~3時間おきの授乳や頻繁なおむつ替えが必要。ただでさえ出産でへとへとなのに、ママは慢性的な寝不足と疲労に苛まれることになります。ママ一人で新生児の時期を乗り越えるのは、困難です。でも、パパの協力があれば、ママの負担が減るかもしれません。

 

現在の育休制度は、育休に入る1ヶ月前までに会社に申し出なければならないなど、男性にとっては使いにくい制度でした。また、男性が分割して育休が取れるのは2回まででした。ママの産後8週間以内にパパが育休を取れば、お子さんが1歳になるまでに(原則)もう一度育休が取れる制度、これをパパ休暇といいます。今回の法改正では、このパパ休暇に加えて、赤ちゃんが生まれて間もない時期に、男性が育休を取りやすくする制度が拡充されるのです。

 

男性版産休(=法改正された男性の育児休業)とは?

 

2022年(来年)秋ごろから、男性は、お子さんの誕生後8週間以内に、合計28日の育児休業を2回に分けて取ることができるようになります。しかも、会社への申出は2週間前で大丈夫です。これは、今まで育休制度にプラスしてできた制度ですので、1歳になるまで(原則)2回に分けて育休をとること(いわゆるパパ休暇)を妨げるものではありません。

つまり、男性はお子さんが1歳になるまで(原則)4回にわけて育休を取ることができるようになるのです。

 

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出典:『育児・介護休業法改正ポイントのご案内』厚生労働省

 

例えば、こんな使い方ができます。

 

(1回目)お子さんが生まれた時に、パパも育休を取って喜びを分かち合う。

(2回目)病院からから帰ってきたママが一番大変な新生児期に、パパも育休を取って育児をする。

(3回目)ママが育児で疲れてきた時に、パパも育休を取ってママを休ませる。

(4回目)ママが職場復帰するときに合わせて、パパも育休を取ってママを支える。

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出典:『男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集』厚生労働省

 

もちろん、育休として休んだ期間は、雇用保険から育児休業給付金が出ますし、社会保険料は免除になります。給与計算時には、気を付けなくてはならないでしょう。

 

導入はいつから?

 

今回の法改正は、すべての企業が改正の対象です。中小企業であっても待ってくれません。

 

2022年4月(来年春)から義務化されるのは、次の2つ。

・育休を取得しやすい環境を整備すること(研修をしたり・相談窓口を設置するなど)

・男性・女性どちらであっても、妊娠 ・ 出産を申し出たら、個別に育休制度をお知らせし、制度を利用するか確認すること

 

そして、2022年秋ごろから、現行制度にプラスして、「男性版産休」が導入されます。

 

導入に備えて、会社がやることは?

 

2020年4月(来年春)までに、会社がやることは2つです

 

就業規則を改定する

2020年秋頃の新制度運用開始にむけて、就業規則を変えましょう。具体的にどんな規定がいいかは、社会保険労務士にご相談ください。おそらく、厚生労働省就業規則のモデルを発表するでしょう。

 

②育休制度を従業員にお知らせする仕組みを作る

従業員の方に新しい育休制度を知ってもらう研修をしたり、育休制度について相談できる窓口を設置しましょう。

 

両立支援等助成金との関係は?

 

男性の育休については、厚生労働省助成金で後押ししてきました。(両立支援等助成金・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金))例えば、子どもの生まれたパパが、生後8週間以内に育休をとり始め、そのまま5日以上休んだとき、中小企業であれば57万円が支給されてきました。

今後この助成金が新しい制度の導入に伴ってどう変わるのかは、大注目です。厚生労働省の発表が待たれます。

 

まとめ

 

2022年(来年)秋から、男性は、子の出生後8週間以内に28日まで、2回に分けて育休を取ることができるようになります。

今回の法改正で、男性が育休を取ることが、もっと身近に、もっと当たり前になっていくといいですね。

 

それではまた。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPH(トライアンフでした。

障害者雇用率制度と障害者雇用率の計算について

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障害者雇用促進法は障害者の職業の安定を図ることを目的とし、障害者雇用対策の一環として、事業主に対して障害者雇用率(以下、法定雇用率)に相当する人数の障害者雇用を義務づけています。障害者雇用は企業にとって法的義務となりますが、

・自社では何人雇用したらいいの?

・どのような障害の人でも対象になるの?

といった疑問が出てくるのではないでしょうか。

そこで、今回はどのような障害の人が対象となるか、どのように雇用義務人数の計算をするのか等についてご紹介します。

 

目次

 

障害者の定義

身体障害者、知的障害者、精神障害者のいずれも対象です。(2018年4月以前は精神障害者については対象外とされていましたが、法改正により対象に加わりました。)

しかし、上記に当てはまる全員が対象となるわけではありません。身体障害者の場合には「身体障害者手帳」を所持していること、知的障害者の場合には「療育手帳」を所持していること、精神障害者の場合には「精神障害者保険福祉手帳」を所持していることなどの要件を満たす必要があります。

 

雇用義務人数の計算

事業主の雇用義務人数は下記計算式にて求めます。

雇用義務人数=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×法定雇用率

 

計算例:民間企業で常用労働者数50人の場合

50人×法定雇用率(2.3%)=1.15人

小数点以下の端数は切り捨てる為、雇用義務人数は1人

 

しかし、業種によっては障害者雇用が難しい場合もあります。そのため、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種(除外率設定業種)について、雇用義務人数の計算時に一定率を除外することが可能です。その場合は下記計算式にて計算を行います。(※1)

雇用義務人数=((常用労働者数+短時間労働者数×0.5)-

((常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×除外率))×法定雇用率

 

 計算例:民間企業で常用労働者数200人、除外率50%の場合

(200-(200×50%))×法定雇用率(2.3%)=2.3人

 小数点以下の端数は切り捨てる為、雇用義務人数は2人

法定雇用率

法定雇用率は、労働者の総数に対する対象となる障害者である労働者の総数の割合を基準として少なくとも5年に一度見直されます。令和3年3月1日以降の法定雇用率は下記のとおりです。

民間企業:2.3%

国、地方公共団体:2.6%

都道府県等の教育委員会:2.5%

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000694645.pdf

 

この法定雇用率に当てはめると、民間企業では43.5人以上の場合に障害者雇用の義務があるということになります。

雇用義務人数のカウントについて

【原則】

・常時雇用労働者1人で1人分 ・短時間労働者1人で0.5人分

【例外】

  • 重度身体障害者(※3)

・常用労働者1人で2人分 ・短時間労働者は1人で1人分

  • 重度知的障害者(※4)

・常用労働者1人で2人分 ・短時間労働者は1人で1人分

  • 精神障害者

・下記要件を満たす短時間労働者は1人で1人分(※2)

  • 新規雇い入れから3年以内、又は精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内
  • 2023年3月31日までに雇い入れられ、精神障害者保険福祉手帳を取得

 

 

常用労働者

短時間労働者

身体障害者

1人

0.5人

重度身体障害者

2人

1人

知的障害者

1人

0.5人

重度知的障害者

2人

1人

精神障害者

1人

0.5人(上記②の場合、1人)

 

まとめ

障害がある人の雇用人数が法定雇用率による計算結果に満たない場合、一定規模以上の事業主は障害者雇用納付金を納める必要がでてきます。逆に、障害がある人の雇用人数が法定雇用率による計算結果以上の場合、調整金や報奨金が支給されます。(※5)

まずは自社での雇用義務人数の把握をし、雇用義務達成のためにはどのように進めていくのが良いかを考えていきましょう。

 

※1 段階的に除外率の引き下げ及び縮小を行っており、最終的には廃止される予定

参考:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/4-1-2_5.pdf

※2 2023年までの特例措置

※3 重度身体障害者とは障害等級の1級または2級に該当する人、3級に該当する障害を2つ以上重複していることで2級とされる人を指す

※4 重度知的障害者とは知的障害者判定機関によって知的障害者の程度が重いと判断される人を指す

※5 参考:https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html

算定基礎届とは?手続きの流れについて解説!

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目次

算定基礎届とは?

1年に1回、7月1日現在に使用されている健康保険・厚生年金の被保険者について、実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じていないかの見直しを行い標準報酬月額の決定し直す為の届出が『健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届』(以下、算定基礎届)です。一般的に『定時決定』と呼ばれています。

標準報酬月額とは

被保険者が事業主から受ける給料などの毎月の報酬額は人それぞれ異なり、毎月変動する可能性があり、各月、各人の報酬額に対して社会保険料を計算して保険料を納付することは会社側・行政側共に事務処理が煩雑になってしまいます。

その為、健康保険・厚生年金保険では報酬額を一定の幅ごとに等級として区分し、等級にあてはめられた仮の報酬月額を基に保険料の計算を行うように定められています。この仮の報酬月額のことを『標準報酬月額』と呼びます。

 

算定基礎届の届出の際には、4月・5月・6月に支払われた報酬を平均して標準報酬月額を算出します。

対象者

雇用形態(正社員・短時間正社員・パート・アルバイト 等)は関係なく、7月1日現在に使用されている健康保険・厚生年金の全被保険者が対象です。ただし、下記の要件に該当する場合には算定基礎届の届出の対象外となります。

 

【算定基礎の届出対象外になる場合】

  • 6月1日以降に資格取得している
  • 6月30日以前に退職している
  • 7月改定の月額変更届を提出する
  • 8月または9月に月額変更届の提出が予定されている ※1

 

基本的には、算定基礎届で提出された標準報酬月額を1年間利用しますが、昇給や給与体系の変更・雇用形態の変更等で年の途中に給与額が大きく変動する場合があります。その場合には実際の報酬にそぐわない保険料が翌年9月(当月控除の場合は8月)まで徴収されてしまう事になる為、翌年の算定基礎届の提出を待たずに『健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届』(以下、月額変更届)を提出し、標準報酬月額の改定を行います。こちらは、一般的に『随時改定』と呼ばれています。

算定基礎届と目的は同じですが、対象となる要件が異なる為、相違点をしっかりと理解しておきましょう。

 

参考:https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hoshu/20141224.html

 

算定基礎届の提出について

提出期間

7月1日~7月10日 ※7月10日が土日祝日の場合、その翌日

 

提出先

協会けんぽに加入している場合:年金事務所(事務センター)

健康保険組合に加入している場合:健康保険分は健康保険組合

厚生年金部分は年金事務所(事務センター)

 

提出書類

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届
  • 被保険者報酬月額変更届 ※2

 

令和2年度までは、健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届総括表の提出も必要でしたが、事務手続きの簡素化による利便性向上を図る目的により様式が廃止され、届出が不要となりました。

提出方法

・窓口持参 ・郵送 ・電子申請 ・電子媒体申請

 

令和2年4月より、特定の法人については電子申請での届出が義務化されています。下記に該当する場合は、電子申請で届出を行いましょう。

 

【特定の法人】

  • 資本金、出資金または銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
  • 相互会社 ・投資法人 ・特定目的会社

 

算定基礎届を提出した後は

算定基礎届提出後、年金機構より『被保険者標準報酬決定通知書』が発行されます。

10月(当月控除の場合は9月)の給与から、決定通知書に記載されている標準報酬月額を基に社会保険料を計算して控除しなくてはなりません。変更漏れがないように留意が必要です。

 

まとめ

社会保険料は従業員の将来の年金給付額に影響を与えます。

年金機構のHPにて記入例や動画・ガイドブックが公開されていますので、それらを参考にして適正に作成・届出を行いましょう。

参考: https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hoshu/20141225.html

 

 

※1 8月または9月の月額変更届の提出予定がなくなった場合には、対象者についての算

定基礎届を速やかに提出する必要があります。

※2 7月改定の該当者がいる場合のみ。