こんにちは。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPH(トライアンフ)です。
突然ですが、昨今話題の「男性版産休」って、皆さんは聞いたことありますか?実はこれ、「男性にも産休取得を義務付ける」ということではありません。「男性にとって育休制度がもっと使いやすくなる」ということなのです。どのように法律が変わったのか、解説していきます。
目次
法改正の背景
女性にとって出産は、命がけのライフイベントです。赤ちゃんが生まれてから1か月間は、2~3時間おきの授乳や頻繁なおむつ替えが必要。ただでさえ出産でへとへとなのに、ママは慢性的な寝不足と疲労に苛まれることになります。ママ一人で新生児の時期を乗り越えるのは、困難です。でも、パパの協力があれば、ママの負担が減るかもしれません。
現在の育休制度は、育休に入る1ヶ月前までに会社に申し出なければならないなど、男性にとっては使いにくい制度でした。また、男性が分割して育休が取れるのは2回まででした。ママの産後8週間以内にパパが育休を取れば、お子さんが1歳になるまでに(原則)もう一度育休が取れる制度、これをパパ休暇といいます。今回の法改正では、このパパ休暇に加えて、赤ちゃんが生まれて間もない時期に、男性が育休を取りやすくする制度が拡充されるのです。
男性版産休(=法改正された男性の育児休業)とは?
2022年(来年)秋ごろから、男性は、お子さんの誕生後8週間以内に、合計28日の育児休業を2回に分けて取ることができるようになります。しかも、会社への申出は2週間前で大丈夫です。これは、今まで育休制度にプラスしてできた制度ですので、1歳になるまで(原則)2回に分けて育休をとること(いわゆるパパ休暇)を妨げるものではありません。
つまり、男性はお子さんが1歳になるまで(原則)4回にわけて育休を取ることができるようになるのです。
出典:『育児・介護休業法改正ポイントのご案内』厚生労働省
例えば、こんな使い方ができます。
(1回目)お子さんが生まれた時に、パパも育休を取って喜びを分かち合う。
(2回目)病院からから帰ってきたママが一番大変な新生児期に、パパも育休を取って育児をする。
(3回目)ママが育児で疲れてきた時に、パパも育休を取ってママを休ませる。
(4回目)ママが職場復帰するときに合わせて、パパも育休を取ってママを支える。
出典:『男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集』厚生労働省
もちろん、育休として休んだ期間は、雇用保険から育児休業給付金が出ますし、社会保険料は免除になります。給与計算時には、気を付けなくてはならないでしょう。
導入はいつから?
今回の法改正は、すべての企業が改正の対象です。中小企業であっても待ってくれません。
2022年4月(来年春)から義務化されるのは、次の2つ。
・育休を取得しやすい環境を整備すること(研修をしたり・相談窓口を設置するなど)
・男性・女性どちらであっても、妊娠 ・ 出産を申し出たら、個別に育休制度をお知らせし、制度を利用するか確認すること
そして、2022年秋ごろから、現行制度にプラスして、「男性版産休」が導入されます。
導入に備えて、会社がやることは?
2020年4月(来年春)までに、会社がやることは2つです
①就業規則を改定する
2020年秋頃の新制度運用開始にむけて、就業規則を変えましょう。具体的にどんな規定がいいかは、社会保険労務士にご相談ください。おそらく、厚生労働省も就業規則のモデルを発表するでしょう。
②育休制度を従業員にお知らせする仕組みを作る
従業員の方に新しい育休制度を知ってもらう研修をしたり、育休制度について相談できる窓口を設置しましょう。
両立支援等助成金との関係は?
男性の育休については、厚生労働省も助成金で後押ししてきました。(両立支援等助成金・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金))例えば、子どもの生まれたパパが、生後8週間以内に育休をとり始め、そのまま5日以上休んだとき、中小企業であれば57万円が支給されてきました。
今後この助成金が新しい制度の導入に伴ってどう変わるのかは、大注目です。厚生労働省の発表が待たれます。
まとめ
2022年(来年)秋から、男性は、子の出生後8週間以内に28日まで、2回に分けて育休を取ることができるようになります。
今回の法改正で、男性が育休を取ることが、もっと身近に、もっと当たり前になっていくといいですね。
それではまた。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPH(トライアンフ)でした。