名古屋金山- 労務トライアンフ

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フレックスタイム制とは?うちの会社でも導入できるの?

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フレックスタイム制とは?

フレックスタイム制とは、労働者が一定の期間において一定の時間働くことを条件として、始業及び就業の時刻を自らで決めることのできる制度です。働き方改革の一環として注目され、近年、導入する企業が増えてきています。

フレックスタイム制導入の要件

フレックスタイム制を導入するにあたっては、就業規則に始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねることを定めるとともに、労使協定で以下の事項を定める必要があります。労使協定については、清算期間が1か月以内であれば届出は不要です。清算期間が1か月を超える場合には届出が必要となることを覚えておきましょう。

 

  1. 対象となる労働者の範囲

全労働者を対象とする必要はなく、特定の部署などに範囲を限ることも可能です

  1. 清算期間とその起算日

清算期間の最長は3か月であり、それ以上の期間の設定はできません。

  1. 清算期間における総労働時間数

清算期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内となるように定めなくてはなりません。労働時間の特例が認められる業種の場合は、1週間の法定労働時間は44時間として計算します。

  1. 標準となる1日の労働時間

有給休暇を取得した際に⽀払われる賃⾦の算定基礎となる労働時間です。清算期間における総労働時間を期間中の所定労働⽇数で割った時間を基準として定めます。

  1. コアタイム・フレキシブルタイムを定める場合にはその開始時刻及び終了時刻

コアタイム:1日の中で必ず働かなくてはならない時間帯

フレキシブルタイム:労働者がその選択で働くことができる時間帯

コアタイム・フレキシブルタイムは必ず定めなくてはならないものではありませんが、どちらも定めないとなると労働者は24時間のうちいつでも好きな時間帯に働いていいということになります。例えば労働者が深夜に働いた場合、それが労働者の選択であったとしても深夜の割増賃金の支払いをしなくてはなりません。24時間いつでも勤務可能になることで各労働者の勤務時間帯がバラバラになり労働者間での情報共有に問題点が出てくることも考えられます。そのような事を防ぐために、コアタイムやフレキシブルタイムを設定することが望ましいといえます。

コアタイム・フレキシブルタイムともに、時間帯を自由に定めることが可能です。” 毎週月曜日の9時から10時は全体朝礼があるので必ず勤務してほしいけど、それ以外は自由にしてもらって構わない” という場合には、月曜日の9時から10時のみコアタイムとすることもできるので、自社の環境に合わせた設定を行いましょう。

しかし、コアタイムの時間が1⽇の労働時間とほぼ同じである場合やフレキシブルタイムの時間帯が極端に短い場合などは労働者が始業・終業時刻を自由に決定できることにはならず、フレックスタイム制とはいえなくなるためその点には注意が必要です。

 

フレックスタイム制での労働と賃金について

“始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる=労働時間の管理が不要になる“と考える方が少なくありませんが、そうではありません。フレックスタイム制を導入していても、実労働時間の把握を行い、適切な労働時間管理を行う必要があります。実労働時間数が清算期間の総労働時間数を超えた場合や実労働時間数が清算期間の総労働時間数に満たない場合の賃金の取り扱いにも注意が必要です。下記に賃金の取り扱いについての具体例をあげておきます。

 

例1:総労働時間数160時間 実労働時間数180時間

超過分を翌月以降の労働時間で調整することは賃金の全額払いの原則に違反する為、

出来ません。超過した20時間分の割増賃金の支払いが必要です。

例2:総労働時間数160時間 実労働時間数150時間

  • 10時間の不足時間分の賃金を控除
  • 10時間の不足時間分を繰り越して、次の清算期間の総労働時間数に合算

法律上は①②のいずれかで対応することが可能です。しかし、②の場合には加算後の総労働時間数が法定労働時間範囲内であることが求められるため、実務上は①で対応することがほとんどといえるでしょう。

 

フレックスタイム制では1日の労働時間を労働者に委ねていることから、1日の労働時間が法定労働時間を超えて労働しても、それをもってただちに時間外労働ということにはなりません。清算期間の総労働時間数を超えたときにはじめて時間外労働となるということを覚えておきましょう。

まとめ

フレックスタイム制はワークライフバランスがとりやすくなることで労働者にとってはメリットが大きい制度といえるでしょう。ワークライフバランスがとれることで仕事の生産性もあがれば、企業にとってもメリットとなります。しかし、労働者間でのコミュニケーションが導入前に比べて難しくなること、タイムマネジメントが出来ない労働者の場合はズルズルと働いてしまい結果的に長時間労働を助長してしまうなどのデメリットも考えられます。

導入を検討する際には、フレックスタイム制を導入することで自社にどのようなメリットがあり、どのようなデメリットが起きる可能性があるか?をしっかりと把握し、決定することが大切です。