名古屋金山- 労務トライアンフ

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育休復帰の壁を乗り越える!子の看護休暇の時間単位取得について

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こんにちは。名古屋・金山の社労士法人TRiUMPHです。

「育休から復帰してほしい社員がいるけど、子育てと仕事の両立は大変そう。どう支援していいのか分からない!」というお悩みをお抱えではありませんか?そんなお悩みに効く法改正が今年ありました。子の看護休暇を、1時間単位でとることができるようになったのです!

そもそも「子の看護休暇」とは?

ざっくり言うと、子どもが病気になった時に、有給休暇とは別に、休暇を取れる制度のことです。子どもの予防接種や健康診断にも使えます。有給休暇とは全く別の制度なので、子の看護休暇をとれば有給休暇は減りません。小学校に通う前の子ども一人につき1年に5日(子どもが2人以上の場合は10日)とることができます。

子の看護休暇をとった時間についてお給料が発生するかどうかは、会社の就業規則などによります。つまり、法的には、会社はかならずしもお給料を支払う必要はないということです。ただし、会社は子の看護休暇をとったからといって、労働者に不利になるようなことはしてはいけません。

 

子の看護休暇は1時間単位でとることができる!

育休から仕復帰した以上、仕事に責任が発生するのも事実です。休めない、休みたくない場合だってあるでしょう。そんな時に助けになるのが、「子の看護休暇の時間単位取得」です。

2021年1月の法改正により、子の看護休暇を1時間単位でとることができるようになりました。例えばこんなことができます。

突然子どもが熱を出した!どうしても外せない仕事がある。病院に連れていき診察を受けさせて病児保育に預けるまで、ある程度時間が必要。9時始業には間に合わない。でも、10時ごろからなら仕事に出られそう。

  • 昨年(法改正前)まで →             半日単位でしか子の看護休暇を取得できない
  • 今年から(法改正後) →             1時間分の子の看護休暇を取得できる

ちなみに、子の看護休暇を15分単位、30分単位などでとれるかどうかは、その会社の就業規則などによります。これは、分単位の子の看護休暇制度が、時間単位の制度よりも労働者に有利な制度であるためです。

また、所定労働時間が1日4時間以下の労働者は、子の看護休暇を取得できませんでしたが、今年からできるようになりました。

ただし、会社は、労使協定で定めることにより、以下の一定の労働者を除外することができます。

  • 勤続6ヶ月未満の労働者
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 時間単位で子の看護休暇又は介護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者

 

就業規則との関係・・・義務化されたの?

会社は就業規則などに、子の看護休暇の時間単位取得の制度を定めておくことは、非常に望ましいです。今のところ、必ずこの制度を定めておかなければならない、というわけではありませんが、早く定めたほうがいいでしょう。なぜなら、労働者が法的に間違っていない子の看護休暇をとりたいと申し出をした時に、会社側は断れないからです。労働者が気持ちよく働けるよう、就業規則を整備しましょう。

では、どんな就業規則にしたらよろしいでしょうか。厚生労働省のホームページにモデル就業規則があるので、ご参考になさってください。また、社会保険労務士へのご相談も検討してもよろしいでしょう。

育児・介護休業等に関する規則の規定例(厚生労働省) 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html

両立立支援等助成金との関係

子の看護休暇を時間単位、かつ有給でとれるようにすると、助成金がもらえる可能性が出てきます。「両立立支援等助成金育児休業等支援コース(職場復帰後支援)という名前です。

この助成金をもらうのに必要な条件は、

  • 中小企業であること
  • 時間単位の子の看護休暇制度を就業規則などに定めること
  • 子の看護休暇が有給であること
  • 雇用保険に入っている労働者が、育休から復帰した後6か月以内に、10時間以上、時間単位の子の看護休暇を取得すること

などです。

他にもいろいろと細かい条件があります。

貰える金額は、

  • 28.5万円(就業規則などを整備したとき)
  • 子の看護休暇により休んだ時間の時給補てん(時間当たり1,000円)

です。

予防接種や健康診断のことを考えると、早期に育休から復帰しようとする労働者がいる会社ほど、もらえる可能性が高くなります。詳しくは、助成金を取り扱っている社会保険労務士にお問い合わせいただくのも一手です。

 

まとめ

子の看護休暇の時間単位取得は、育休から復帰する労働者を支援する上で、心強い味方です。早めに就業規則に定めて運用するのが望ましいでしょう。しかも、有給の休暇にすれば両立支援等助成金ももらえるかもしれません。今の時代、労働者の子育てと仕事の両立を支援するのは、会社の義務とも言えます。早め早めに法改正に対応して、働きやすい職場を作りましょう。

 

<参考資料>

「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!」厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf

「介護休暇・子の看護休暇の時間単位取得について」宮城労働局 雇用環境・均等室

https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/content/contents/000618703.pdf